MIYUTOのぷらも道

模型活動(製作・完成)日常雑記

      この道はどこに続く。。。

塗装ブースの機種選定 ダクトによる圧力損失計算

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圧力損失計算をして

各メーカーの塗装ブースの能力の

可否を数値的にも

可視化してみようと思いました。

オブラートに包まれ、

何故か謎に包まれている塗装ブース。

換気扇とかは各製造メーカーは性能を公開しているのに。

 

換気検討する塗装ブースたち

    • ネロブース(GATTOWORKS)
    • 互換ブース(互換屋)
    • レッドサイクロン(エアテックス)
    • Mr.スーパーブース(GSIクレオス)
    • 参考換気扇

タミヤのツインファンについては

送風機の型式,P-Q曲線ともに不明の為、除外しました。

 

各塗装ブースのスペックはこちらとなっています。

商品名

 風量

(m3/h)

 騒音

 (db)

 排気径

  送風機の種類

 

 送風機型式

 

【ネロブース】

(GATTOWORKS)

 400   43  150φ ストレートシロッコ

BFS-40SG

(三菱)

【互換ブース】

(互換屋)

 441   64  125φ DCファン

SAN ACE120

9SG1212P1G06

(山洋電気)

【レッドサイクロン】

(エアテックス)

 240   60  100φ DCファン

RDH1238B1

(X-FAN)

【ツインファン】

(タミヤ)

 126   63   65φ*2 シロッコファン

不明

【MR.スーパーブース】

(GSIクレオス)

 115   57   65φ シロッコファン

ブロア83SRT-NK

(佐藤工業所)

【壁換気扇】

1002   37.5   300φ プロペラファン

EX30EF8

(三菱)

2020.12調べ

 

塗装ブースの設置条件を仮定

まずは塗装ブースの設置条件を比較する為に統一します。

 自作塗装ブースの設置条件

    1. 必要風量315m3/h
    2. 設置場所ー外気までの配管距離1m
    3. 配管の曲がり個所数2ヶ所R/D=1
    4. ベンドキャップなど末端は無し
    5. 外の風速0m/s
    6. 配管はめっき鋼管ダクト
    7. 吸気は十分確保されている
    8. フィルターの類は設けない

 1.必要風量は仮定しました。

2.外気までの配管距離は直線距離をたしたトータルでの距離です。 

1mって垂直、水平もカウントされるので結構短い(塗装ブースと外気までの距離)と思います。

3.塗装ブースから外気までの

配管の曲がり部分は2ヶ所と仮定しました。 

塗装ブースから出てすぐ曲げるのは、負荷がかかるので本当は推奨されないのでしょうが、絵的にこうなってしまいます。

R/D=1とします。(R:曲がり半径、Dはダクト直径)

4.配管端末側は何もつけて無いという仮定です。

当然ですが、フード、ベンドキャップや形状が変わる様な物をつけると数値が変わります。

 

5.外の風速は無風と仮定しました。

6.配管の材質もメーカー付属のアルミフレキシブルダクト、塩ビフレキシブルダクトではなく、全てめっき鋼管ダクトと置き換えて計算しました。

換算表があるものとしてです。

 7.吸気は十分あるものとします。塗装ブースの設置条件

 このような条件で仮定したので圧力損失計算をしてみます。

 

ダクト計算をしてみる。

直管相当長による方法(簡略法)の方が簡単なのですが、

一部塗装ブースの送風機のカタログでは必要風量が不明になってしまうのでダクトの摩擦抵抗線図による方法で求めていきます。

 

フードをつけたり、直管相当長での計算はこちら

 

 

ダクト・部品圧損の計算

直線部分の合計長さ

ダクトの直線相当長さは

単純な直線部分のトータルです。

設置条件より0.2+0.5+0.3=1.0m

曲がり部分の直管相当長さ

曲がり部分も直線と

置き換えて長さを求めます。

直線相当長さ。

R/D=1ですと、15Dなので

各ダクト径で求めます。

 R:曲げ半径、D:ダクト直径

150φ:(15×0.15)×2ヶ所=4.5m125φ:(15×0.125)×2ヶ所=3.8m100φ :(15×0.10)×2ヶ所=3.0m     65φ:(15×0.065)×2ヶ所=2.0m

末端部材の直管相当長さ

今回は何もつけないという仮定なので計上しません。

 

ダクト抵抗

めっきダクトのダクト摩擦抵抗線図より

各ダクト径で求めます。

必要風量は315m3/hと仮定したので

摩擦損失図表

  • 150φ:3.7
  • 125φ:7.0
  • 100φ :20
  •   65φ:140?

65φとしたものは測定不能ですが、、、ドンブリでこのまま進んでしまいます。

必要静圧

静圧=ダクト直線相当長さ×摩擦抵抗×摩擦修正係数*1.2

 圧力損失に20%の余裕(外風等)を加味します。

 摩擦修正係数は1.0とします。

  • 150φ:(1.0+4.5)×3.7×1.0×1.2=  24.4Pa
  • 125φ:(1.0+3.8)×7.0×1.0×1.2=  40.3Pa
  • 100φ :(1.0+3.0)×20×1.0×1.2=   96.0Pa
  •   65φ:(1.0+2.0)×140×1.0×1.2=924Pa

 

塗装ブースの選定確認

塗装ブースに使われているファンの型番からPQ曲線に照らして検証します。

設定風量は315としています。

この値を超えていればOKと言う事です。

 

ネロブース

 

三菱:ストレートシロッコファン BFS-40SGのPQ曲線から

ダクト150φで必要静圧24.4Paの時の風量を確認します。

ネロブースのPQ曲線

強:420m3/h OK

 弱:280m3/h  NG

(いづれも50HZの時)

 

強の時はOKです。

互換ブース

山洋電機:DCファン SanAce120 9SGの12VのPQ曲線から

ダクト125φで必要静圧40.3Paの時の風量を確認します。

互換ブースのPQ曲線

単位がそのままですと(m3/min)なので換算しまして、

420m3/h  OK

レッドサイクロン

X-FAN:DCファン RD1238B1のPQ曲線から

ダクト100φで必要静圧96Paの時の風量を確認します。

 互換ブースのPQ曲線

こちらは縦軸、横軸とも単位を換算します。

(mmH2O=9.807Pa、CFM=1.7m3/h)

型番にHがあるのでHの曲線より

 60m3/h NG

 

・風量調節して2/3程度の200m3/hなら必要静圧43.2Pa

  230m3/h位になり問題がなくなります。

 

MR.スーパーブース

佐藤工業所:シロッコファン ブロア83SRT-NKのPQ曲線より

ダクト65φ必要静圧924Paの時の風量を確認します。。。

Mr.スーパーブースのPQ曲線

確認不能。

 

それではなんとも(T . T)、

なので仮定します。

風量は1/3位で100m3/hかな。または、

ダクトを100φへ改造してしまいました。

100m3/hまたはダクト100φで必要静圧96Paではどうか

65m3/h位 NG

おまけ 壁換気扇

こちらはおまけ添付になります。

大風量の壁付き換気扇

三菱:EX30EF8 プロペラファンのPQ曲線になります。

 

レッドサイクロンのPQ曲線

 

グラフを見るとわかりますが

横軸の風量は値は大きいのですが

静圧の値が小さいです。

ダクト配管は向いていないという事が一目瞭然ですね。

 

ちなみに壁直付けで設置した場合どうなるか。

外風を静圧と見立てて計算します。

外風7.0m/sとした場合

P=K×ρ×(Vの2乗/2)

 K:風圧係数、ρ:空気密度、V:風速

P=0.7×1.2kg/m3×(7.0の2乗/2)

20.6Pa

必要静圧10.5Paの時の風量を確認すると、

460m3/h OK

ただし少しでも風がつよくなったり、吸気不足の時はNGになってしまう。

最後に

今回検証した目的は各メーカーの塗装ブースが感覚的な物は参照できるのです。

数値にして見るとどうなるのかいつもモヤモヤした気持ちで、カタログ、ブログ、YouTubeを見ていました。

 

そして、今回の計算でNGだからダメとかそういう事ではありません。

 

あくまで、

ダクトの圧力損失からの

計算とダクトは仮定での計算です。

 

箱体の検討をしていませんし、

エアブラシの風量は絞って1/3だよとか。

ダクトはもっと短くするとか。

そう言う条件が異なるというか工夫も生まれるのでは無いでしょうか。

 

そして各メーカーの塗装ブースはクレオスのハニカムフィルターを筆頭に、タミヤのツインファンなど安全性、費用対効果等色々工夫していますし。

 

ただ、設定を統一したことで特性が理解できました。

 

例えば、必要風量は小さく設定とか、はたまた、ダクト径を変えてしまえば有利になるとか、型番から上位互換の送風機に変えるとか…改造になってしまうか。。。

 

計算方法がわかったとか、はたまた、自作ブースを導入するにはどの機種の送風機を選んだらいいかとか。

 

色々な可能性ができたのは有益だったと感じます。